リレーブログ⑬~作道雄~

映画「マザーレイク」プロジェクトチーム、なるものが存在します。

老若男女約30名により構成されています。
みんな、映画を滋賀県内に、そして全国に広めようと集まったメンバー。

映画に地域キャストとして出演している人も、エキストラ参加の人も、撮影当日の炊きだしをした人も。
普段は滋賀県内に在住、お仕事は別にされている方がほとんどです。

このブログでは、そんなメンバーの皆さんに一人ずつ、映画への想いを語っていただきます。
映画のことを、身近に感じてもらえますように。


映画『マザーレイク』リレーブログ、お楽しみください。


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いよいよ京都・滋賀先行公開の日を迎える、
その前の日にこのブログを書いています。

普段は京都に住んでいますが、
今は東京、新宿にいます。
仕事で来ていてただでさえ疲労しているわけですが、人の流れがとにかく多くて、喫茶店の隅っこを陣取って珈琲をすすってもまだ落ち着かない。
(東京の人たちはどうやってこの疲労感をやり過ごしているんだろう?)

ところが、ipodに入れているJABBERLOOPさんのサウンドトラックを耳に流し込むと、
途端に心が休まりました。

優しくて、豊かで、寛大で
まさにそれは、この映画『マザーレイク』の脚本で僕が描きたかった琵琶湖そのもののような曲。

何も言わずに現状を肯定してくれるような、
生まれてくる前の景色が見えてくるような、
母なる湖。

こう書くと嘘みたいなんだけど、琵琶湖にはそんな不思議な力があるような気がしています。


ちょうど昨年、脚本作業に追い込まれていた僕は、
相当苦しんでいました。

はじめて書く長編の映画。
応援してくださっている滋賀県の皆様の期待感。
『ビワッシー』という、ともすると陳腐になりがちな題材をどう、普遍的な物語に昇華するか。
決定していく豪華なキャスト陣。

ほぼ毎日、瀬木監督とやり取りをする中で、
どうすればもっとブラッシュアップされるのか先が見えなくなり、
『もうおります!……ってか脚本家やめます!』というメールを監督に送りかけてやめた、深夜の四条河原町のモスバーガー。

結局、そのメールは保存したまま送らずに、
また黙々と直しを続けたりした訳ですが……

それでもまだ方向性が見つからず。
具体的には、映画の中盤で行われる別所哲也さんと、子役の福家悠君とのやり取りの台詞が思いつかず、
たまらず車を運転して、一人で深夜の琵琶湖を見に行ったんですね。

コンビニでアイスコーヒーを買って、ボーっと夜の琵琶湖のほとりに佇んでいたら、
大型の船、おそらく客船ですが、たくさんの小さな明かりを窓に宿しながら、夜の闇を前進していくその姿が遥か湖上の遠くに見えて、思わず泣いてしまいました。

色んな感情がない交ぜになっていたのですが、
人が生きている、と思ったことに泣いてしまったんだと思います。


理想がどうとか、
目標がどうとか、
夢とかがどうとか、

そういう話ではなく、

とにかく人は生きている。
この場所で動いている。
この先も人は生きていて、そしてそこにこうして琵琶湖はあって
それはなんでもない当たり前のことなんだけど、かけがえのないことであって。

それを実感する場所、し合える場所が
例えば「ふるさと」とか「帰ってくる場所」とかなんじゃないかと。

半永久的に存在するその事実を
愛すべき母なる湖を背に、語り継ぐことが出来るような映画が出来たら、
今ここでうちのめされている自分も、あるいはきっと見てくださる方も、癒されるんじゃないか。


当たり前で、単純で、けど一番忘れがちなメッセージを込めながら、
映画「マザーレイク」を最後まで書きました。


どうか
この映画がずっと滋賀県で愛される映画になりますように。

そして世界のどこか
この映画を見た方がある種の共感を持って、滋賀県を訪れてくださる映画になりますように。


公開前夜、
人がたくさん行き交う新宿の喫茶店から、
滋賀県に、関西に、世界中に思いを込めて。


作道雄


この記事へのコメント

  • 滋賀のふじむら

    作道 様へ もう60歳を超える滋賀のふじむらと申します。

    昨日の日曜日(7/3)、家内とマザーレイクを見させていただきました。

    貴兄が、どうしてビワッシーという題材を使って、この映画の脚本を書き上げたのか興味を持って見せていただき、感動いたしました。また、過去に封印していた記憶がまざまざと蘇りました。

    実は、忘れもしません今から37年前の1979年の8月中旬だったと思います。竹生島の北西側になる海津大崎湖岸で、湖岸横にある鮎の養殖池に湧水する地下水の量を測定する業務を行っておりました。揚水しながら、1時間毎に池の水位を測定するという単純な業務ですが、水位測定の間は何もすることが無く、午後3時頃だったと思いますが、ラジオで夏の高校野球を聞きながら湖面をぼーっと眺めていると、まるで人がバタフライで泳いでいるようなこぶが、100m以上の沖合に二つ見えてきました。映画で出てきたビワッシーのしっぽと首が見えないそのままの姿です。

    私は、隣の同僚に「あの人、ずいぶん泳ぎがうまいな」と言いましたところ、
    同僚は、
    「あれは、人間が泳ぐ速度じゃないし、そもそも相当大きいで!!5m以上あるんとちがうか」
    と答えました。

    その後、その未確認動物は水中に消えて、二度と現れませんでした。しばらくして、船が通った後の波のようなものが湖岸に押し寄せて、2人、ぞーっとしたことを覚えております。

    ビワッシー(当時もこの名前を使っていました)を見たと周囲の人間に話しても、もちろん誰も信用してくれず、いつのまにか私も誰にも話さなくなりました。漁師の方は、2mを超える鯉かもしれないと言ってくれましたが、2mはゆうに超えていたと思います。昨日も、映画の帰り、車中で家内にこの話をしても、「はい、はい」と信用してくれません。

    どうか、この映画を機会に、日本全国の方が滋賀県をもっと知っていただき、訪れてもらえる機会になれば、滋賀県人としてありがたい思います。

    長文となりましたが、今後のご活躍を期待しております。
    2016年07月04日 09:55