リレーブログ⑰~後藤素子~

映画「マザーレイク」プロジェクトチーム、なるものが存在します。

老若男女約30名により構成されています。
みんな、映画を滋賀県内に、そして全国に広めようと集まったメンバー。

映画に地域キャストとして出演している人も、エキストラ参加の人も、撮影当日の炊きだしをした人も。
普段は滋賀県内に在住、お仕事は別にされている方がほとんどです。

このブログでは、そんなメンバーの皆さんに一人ずつ、映画への想いを語っていただきます。
映画のことを、身近に感じてもらえますように。


映画『マザーレイク』リレーブログ、お楽しみください。


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(ネタバレ注意!)

マザーレイクの会事務局の一員として関わらせていただいた、湖南市地域おこし協力隊OGの後藤素子と申します。

思い出として2つ挙げさせていただきます。

まずは事務局としての葛藤…。

最初に事務局のお話を聞いた時、大変戸惑いました。
頭では「湖南市だけでなく滋賀県の活性化につながる素晴らしい事業だ」「映画製作に関われるなんて一生にそうあることじゃない」と純粋にやってみたい気持ちが気持ちがわくのですが、
同時に「正直なところそんな余裕があるわけない。もっと生活にも気持ちにも余裕がある人がやるべきことじゃないか?」と尻込みする自分もいたからです。
地域おこし協力隊員として残り任期1年を切っていた私は自分のミッションに必死でしたし、公開時には事務局にいなくなるのが確実な立場でもありました。
ですから、「協力隊として映画事務局を受ける」と決まった時も「申し訳ないけれど、できる範囲でだけ関わらせてください」というスタンスでした。

ところが、すぐにオーディションの受付が始まります。電話応対、メール応対、応募用紙入力、整理に追われる毎日。
ここで私一人が「できる範囲で」と帰ることは簡単でしたが、タイトなスケジュールで動いているので私の猫の手でも無くなると他メンバーがかなり大変になるのは目に見えていました。おかあちゃん隊員としては結局ガッツリ手を出さざるをえなくなりました。そしてメンバーは予想だにしなかったようですが私は電話応対がそこそこ得意だったのです。

「マザーレイクの会事務局の後藤と申します。~~」と電話している私の応対を聞いた吉田隊員の第一声は「ここまでちゃんと受け答えできるなんて思ってもみなかった!まるで別人!!」(笑)

とはいえオーディションの詳細について電話するのはプレッシャーでした。なかなか繋がらなかったりもありますし、伝えきれなくてその方がオーディション受けられなくなったら大変なことですしね。皆さんの熱い想いの詰まった応募用紙を拝見しているので尚更です。精一杯対応させていただきました。そうこうするうちオーディションに関する怒涛の2ヶ月が過ぎ一段落。やりきった感いっぱいで一息ついた頃。


ここからはネタばれになりますが、出演者として…。


「誰か丸文字じゃない、落ち着いた感じの字を書く女性いませんかねぇ?」ロケに張り付く吉田隊員が事務所に立ち寄りメンバーに声をかけてきました。主人公の亡くなったお母さんが残した手紙やスクラップブックの文字を書く人を探している、と言うのです。

「丸文字じゃないよ~、私」なんてしゃべりながら面白半分に「明日死ぬ気で生きていきなさい。」と書いた紙きれを助監督に写メで送ると「今度はこの文章を」とリクエストがあり、数度のやりとりを経て見事?採用。思ってもみなかった形で映画出演が決まりました。ロケスケジュールに合わせて「字」を書くわけですが、これがまた思ってたよりずっと大変!

主人公の母であり、彼と共に葛藤する父の亡き妻、写真家の藤居由美子のスタジオに二人が入り思い出を語るシーン。スタジオの本棚に並ぶ彼女が残したたくさんのスクラップブック。

最初は二人が開いて見るであろうインド旅行記や竜神伝説のページ。写真の位置、コメント位置まで細かい指定がありました。全部で10ページ分ほどでしょうか。日付けやコメントはいわゆる日記なので、ある程度勢いのある感じが必要です。つまりサラサラっと書いたような雰囲気。もちろん誤字は許されません。とても緊張しました。

それからスクラップブックの背表紙を一つ一つ手書き。こちらは20枚以上。背表紙部分だけ帯にしメーカー名は一文字変えて実在しないものになっているけれど本物ソックリ。とても良く作られています。私が書いたあと、実際のスクラップブックに貼り付けていくとの事。なんて細かい仕事でしょう。

ロケ現場に食事差入れに出向いたので現場の皆さんの真剣な様子も肌に染みていました。

どの程度まで映りこむのかわからないので一切手が抜けません。ぶっつけ本番では到底できないので、最初に渡されたラフ画を何枚もコピーして何度も何度も下書きし、まる二日かけて書き上げました。

そして図書館カードに「藤居由美子」とサイン。このカードがまた古ぼけた感じに仕上げられていて作る方達の職人芸を感じます。
最後に竜神様の写真の裏に残す家族へのメッセージを。こうして重ねて綴るうちにすっかり私は藤居由美子に感情移入していきました。

幼い息子と愛する夫を残して逝かなければならない彼女はどんなに辛かったことでしょう。
それでも生きるためのメッセージを残し続けた。その母の愛が伝わったからこそ父と子は解り合うことができたのではないでしょうか。
この映画は父と子を描いてはいますが、母の愛が根底にあるからこその物語だと気づきました。そんな「母」の視点から観るのも一興かと思います。

蛇足ではありますが…
沖島クランクアップ炊き出し隊として参加した際に「妻」役として別所哲也さんとツーショット写真を撮らせていただきました。別所さんの手がそっと私の肩にふれた事は私だけの心の宝物です♡


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